パートナーストーリー Vol.3 白水氏
「ベンチャー・フィランソロピーの手法への興味から」

 

白水氏は、本業でPE(プライベート・エクイティ)ファンドに勤務する傍ら、幾つもの団体に積極的に関わっているパワフルなパートナーだ。休みの日にはまだ小さいお子さんを連れてミーティングに参加するという、育メンパパの顔も持つ。

「仕事でコンサルや投資をやってきたこともあり、SVP東京がモデルとしているベンチャー・フィランソロピーという手法を通じて、社会に対して何かできないか、と考えたんです」

 

新卒で外資系コンサルティング会社に就職した白水氏は、その後現在まで、PEファンドに身を置いている。企業の株を取得して、数年という単位で内側から立て直すのが仕事だ。キャッシュフロー管理や業績・KPI管理、経営戦略と、投資先企業の企業価値向上のためにハンズオンで関わっていく。

そんな白水氏がソーシャルへの意識を強めたのは、東日本大震災の時だという。

元々大学生のときからボランティア活動をしていたことはあったが、その根幹には、社会の様々な側面をもっと知りたいという思いがあったという。そして震災をきっかけに、単に自分が所属する会社で仕事をするだけではなく、本業以外でも個人として社会に何かできることはないか、と考えるようになった。また、子どもの誕生も、次の世代にどのような社会を引き継いでいくべきかを考えさせられるきっかけになったという。

 

「パートナー募集のタイミングは過ぎていたらしいのですが、あまりに面白そうだったので、代表のところに押しかけて、頼み込んで入会させてもらいました(笑)」

偶然参加したソーシャルキャリアフォーラムで、当時SVP東京の代表理事を務めていた岡本拓也氏のプレゼンテーションを聞いた白水氏は、その場ですぐに入会を決める。当時のSVP東京への印象は、「熱そう(と同時に暑苦しそう(笑))で、面白そう」とのことだ。

興味ある分野は、「少子高齢化」。現在の日本の人口動態の現実を踏まえると、日本の社会課題で第一に考えるべきことは、やはりここに尽きるという。そして、SVP東京にジョインしてから、社会起業家やその支援者、そしてSVP東京のパートナーとの出会いを通じて、新しく知ったことは多かったという。

「入会して痛感したことは、一見豊かで治安の良い国に思える日本に、こんなにも社会課題があるのか、ということ。そして、そうした社会課題に対して、こんなにも熱意をもって取り組んでいる起業家たちがいるのか、ということでした」

SVP東京での協働においては、仕事と子育ての両立不安を解消するための体験型プログラム「ワーク&ライフ・インターン」を提供し自分らしいライフ・キャリアの実現を支援するスリール株式会社、児童養護施設等の子どもたちへの学習支援事業や10代の子どもたちの悩みに寄り添うWebサイト「Mex(ミークス)」を提供するNPO法人3keys、そしてフィリピン人等にモンテッソーリ教育を採り入れた英語教育法を教授し英語教師として育成することにより社会的自立を支援するSEELS株式会社の3団体に関わっており、前二者ではリーダーを務めている。

「大事なのは、その団体のスケールやキャパシティビルディング、そして団体の役職員や受益者の方々がハッピーになるためにはどうすべきかを、団体側の立場に立ち自分ごととして一緒に考える、ということだと思っています」

ただ、自分の所属する会社やスキル・バックグラウンドにこだわり過ぎる必要はないという。人員的にも財務的にも経営リソースが不足するソーシャルベンチャーにとって、サポートが必要な領域も多岐に渡るからだ。協働先や社会課題解決のためにどうしたら最大限役立てるか、そしてチームにいかに貢献するか…。各パートナーがそういう意識を持って協力し合いさえすれば、必ず素晴らしい協働ができるはず、と語る白水氏。

「SVP東京の良いところは二つ。一つは、数多くのソーシャルベンチャーや社会起業家たちと繋がり、社会課題を知り解決方法を一緒に考えていくというプラットフォームであるということ。そしてもう一つは、多種多様なバックグラウンドや考え方を持ったパートナーが集まっているというダイバーシティ、だと思っています。この二つの間に、自分が日々所属している組織から離れ、個人として社会にできることは何かを考えさせてくれるきっかけが見つかるはずです」