パートナーストーリー Vol.6 中島氏
「自身の提供価値を磨き、社会へ貢献する仕組みを生み出す」


大手町のカフェにさっそうと現れた、スマートな印象の女性。
とある外資系コンサルファームで官民連携コンサルタントとして活躍している中島氏は、SVP東京の在籍歴10年を超えるベテランパートナー。
様々な協働チームにスポット参加する必殺仕事人のようなパートナーで、なかなかその姿を見かけることが難しいというレアキャラである。


「元々、大学出てからしばらくはフリーターだったんですよ」

笑いながらそう語る中島氏。
色々な仕事を経験したという(詳細は割愛)が、その後、堅実な土木コンサルティング会社に就職する。そこで携わったひとつのプロジェクトが、彼女の後の人生を大きく変えることになったという。

そのプロジェクトとは、行政からの委託を受け、ダムによって移転を余儀なくされた村の移転後活性化支援をするというものだった。地域活性化という文脈でプロジェクトに関わった中島氏は、過疎の波に飲み込まれそうになっていた住民800人ほどの村のために、人が流入してくるための仕組みづくり、イベントPRの支援などをおこない、1年毎の契約という細い糸でつながった関係の中で支援を続けた。

その後、公共事業批判の波などもあり、プロジェクトは打ち切りになるも、個人的に村からSOSが届くと、ボランティアで手伝いに行っていたという。しかし、そんな曖昧な形の支援を1年ほど続けているうちに、次第に彼らからのSOSにまっすぐ向き合えなくなっていく自分に気づいたという。

「自分は、彼らのために本当にやるべきことをしてきたのだろうか?」

これまでの自分は、頼りにされることに酔って、楽しんできただけなのではないか?
本当は、彼らが外部の支援者なしでも収入源を獲得し、自立できるようサポートしてあげるのが正しかったのではないか?
もっと彼らの助けになるようなローカルの非営利組織などがあるのではないか?
そういった団体を支援して結び付けてあげるのが本筋なのではないか?


そんなことを自問し始めたタイミングで、たまたま出会ったのが、NPOサポートセンターが主催する、「NPOマネジメントコンサルティングセミナー」という全4回のワークショップ。
NPOサポートセンターが提供しているツールを使って、実際のケーススタディをグループワークで行っていくというもの。実はこの場で同時に参加していたメンバーに、SVP東京のパートナーが複数いたという運命的な出会いが生まれる。


「雰囲気にやられましたね(笑)」

このワークショップの後、一部の参加者が集められて、ツールのブラッシュアップへの意見出しのようなものが行われた。そこに同時に呼ばれていたSVP東京パートナー(当時)の伊藤健さんの誘いでSVP東京の主催するネットワークミーティングに参加し、農業と地域活性化に関する熱い議論のとりこになり、いつの間にかパートナーになることを決心していた。

いつの間にか、というのは語弊があるかもしれない。
ワークショップで出会ったパートナーたちの印象は、「きれる」というものだったという。この「きれる」人たちが、実際にNPOなどにコンサルをしているという。
どんなツールがあるのか、どうやってコンサルをするのか、自分が学べるものがここにはたくさんある、と思ったという。

ネットワークミーティングで知り合った「農家のこせがれネットワーク」には、2年目からチーム参加というイレギュラーの形で参画。少しずつ協働を経験していく中で、実は意外なほど、団体もパートナーも、行政との付き合い方を知らない、ということに気づいた。

「自分の経験が、ここではバリューになるんだ」

学びながら、自分にも提供できるものがある・・・それがSVP東京という場だった。冒頭に書いた「必殺仕事人」のような活躍というのはまさに、である。
例えば、あるNPO法人のチームでは、今後の大きな事業計画を立てるというタイミングでヘルプの打診を受け、スポットで参加。話が進みそうな自治体の評価、判断を求められたという。
自らの経験から、案件のタイミング、担当者、諸々の環境的要因を分析して「この案件は確実に受注できる」という判断をし、団体が自治体からの受託を中心とした事業に舵を切るきっかけを作った。その後、団体は自治体受託の実績を上げ、他の自治体へと横展開をしていくという流れがうまれた。

その後も、自分の興味分野である福祉や、趣味のリノベなど、関心があること、自分の経験が活かせるところ、という基準をもって、複数の協働に関わってきている。
プラスリジョン、Arrow Arrow、ReBit、つくばアグリチャレンジ、モクチン企画。なんとも精力的に関わり続け、行政連携の支援を行ってきた。ReBitでは現在も理事としてサポートしている。

「本業で行政を数多く支援してきたからからこそ、行政の限界も知っている」

本業では、土木コンサルの会社に在籍中にGRIPS(政策研究大学院大学)に1年通い、その後現職の外資系コンサル会社へ転職した。今までよりも更にスケールの大きい形で官民をつなげ、今までにない社会の形を作り出す仕事をしている。(仕事の内容は面白すぎるので、詳しく聞きたい方は是非、直接コンタクトを!)


SVP東京に所属し続ける理由として、社会の課題解決に自分が寄与できる方法だ、という。
行政の社会課題に対するアプローチには、業務委託や補助金などお金に絡むことも多いが、お金があればなんとかなる、という話でもない。行政に頼るのに限界があるのであれば、ソーシャルビジネスしかない。 ソーシャルビジネスがしっかり自立して、支えたい人を支えられるようにする・・・そのサポートなら、自分にもできる。

未来に何の保証もない・・・そう言い切る中島氏は、驚くほど堅実でストイックだ。自ら企業に「所属」するということ以外に、生計の柱を複数もっておかないといけないと言う(非営利団体の収入柱の考え方に似ている)。
その一つが、行政向け営業に関するセミナーなど、彼女自身が培ってきたノウハウ(知識)の提供だという。

「間接報酬の仕組みを、もっと広げたいですね」

副業が禁止だという現職の関係上、提供しているセミナーで、直接参加費はとっていない。代わりに参加者にお願いしているのは、自分のサポートする地方へのふるさと納税、もしくは団体への寄付、という形でその対価を払う、ということだ。
フィランソロピーの形も多様性をもってしかるべきで、単純な募金やボランティアだけでなく、スキルの提供、またスキルを誰かに提供することの対価を間接的に寄付する、などの形態は、今後もっと広がる可能性を秘めていると感じている。


最後に、お約束質問として、どんな人がSVP東京にマッチしているかを聞いた。

「生きるエネルギーがありあまっている人ですかね!」

パワフルなスマイルを浮かべながら、そう即答する中島氏。

「会社の仕事だけではパワーを持て余している人。「会社はもっとこうすべき」という想いやアイデアをたくさん持っている人や、会社外でネットワークを広げることに力を入れている人。セミナーに参加して自己研鑽している人。そんな人たちには、是非参加してほしい。名刺だけの関係を作るくらいだったら、きっちりコミットして、団体と悩みも喜びを共有して、生きている実感をしてほしい。

年功序列の会社で自分の裁量をあまり持てない人などは、自分の経験や知識が非営利団体などにとってはすごい価値だったりして、驚くと思います。

私のように、まずはネットワークミーティングに出てみると良いかもしれないですね。」

(聞き手:桐ヶ谷、写真:千葉愛子)